十五の妄影(もうえい)

「じゃあ紅茶淹れてすぐ行きます」

晋作君はキッチンの方へと歩いていく。

頷いて、私は階段を上がっていった。

この家にお邪魔するのも、晋作君が中学生の頃から。

勝手知ったる他人の家だ。

この家の雰囲気もよく知っている。

晋作君は母子家庭で、お母さんが少し冷たい感じのする人だけど、それでも上手くやっているようだった。

喧嘩らしい喧嘩をしているのも見た事がないし、晋作君はお母さんの言いつけをよく守る優等生といった感じだった。

そんな彼が、何でイジメなんて受けるのか理解できないけど。

彼は本当に素直ないい子だ。

優しすぎるくらい優しい子。

そんな彼が、クラスメイトから疎外されているというのは何だか心が痛む。