十五の妄影(もうえい)

部屋のドアを開け、一歩一歩階段を下りる。

…一段踏みしめるごとに、ぞわっ、ぞわっ、と走る感覚。

体はカッカと熱くなるのに、その奥の芯の部分が冷め切っている感じ。

その感覚と共に、奥底から何かが起き上がる。

黒い、どす黒い何かが、首をもたげる。

…天井の灯りに照らされて、階段に伸びる僕の影。

その影に重なるように。

…もう一つ、同じ輪郭の影が、ぬぅっと姿を現した…。