部屋に入ってきた母さんの表情は、ひどく冷め切っていた。
少なくとも、いじめを受けた息子の事を心配している顔ではない。
「下の部屋まで声が聞こえたわよ」
半ば呆れ顔で母さんが言う。
「泣いてたのね」
「…うん」
俯き加減に頷く僕。
そんな僕に。
「情けない」
母さんは吐き捨てるように言った。
「たかがいじめられたくらいで、声を上げて泣きじゃくるなんて…私の育て方が間違ってたのかしら。そんな意気地のない子に育てたつもりはないんだけど」
慰めを期待していた訳じゃない。
優しい言葉をかけてくれるなんて思っていた訳じゃない。
だけど母さんの口から出たのは、あまりにも辛辣な言葉だった。
少なくとも、いじめを受けた息子の事を心配している顔ではない。
「下の部屋まで声が聞こえたわよ」
半ば呆れ顔で母さんが言う。
「泣いてたのね」
「…うん」
俯き加減に頷く僕。
そんな僕に。
「情けない」
母さんは吐き捨てるように言った。
「たかがいじめられたくらいで、声を上げて泣きじゃくるなんて…私の育て方が間違ってたのかしら。そんな意気地のない子に育てたつもりはないんだけど」
慰めを期待していた訳じゃない。
優しい言葉をかけてくれるなんて思っていた訳じゃない。
だけど母さんの口から出たのは、あまりにも辛辣な言葉だった。


