十五の妄影(もうえい)

何より。

この影の形に親しみを感じた。

無理もない。

この影の形。

その輪郭。

目鼻立ちこそ全くないものの、その輪郭は僕そのものだった。

背の高さ、体型、肉付きから何まで、僕と全く同じ。

シルエットだけならば僕と見分けがつかないほどの精巧さだった。

そして。

僕はその影を凝視する。

その黒さ。

恐らくは生みの親であろう、僕ですら引き込まれ、飲み込まれ、吸い込まれてしまいそうなほどの漆黒。

この黒さに、僕は確信を持った。

この影は…僕がこの世界に対して持っていた『感情』そのものだと。