十五の妄影(もうえい)

駐輪場。

自転車までひっくり返されている。

起こしてまたがり、ペダルを踏む。

暗くなっていたのでライトを点けようとしたけど、壊されてしまったのだろうか、ライトは点かなかった。

止むを得ず、そのまま帰宅する。

その途中。

「待ちなさい」

呼び止められる。

巡回中の警察官だった。

「無灯火で自転車乗っちゃ危ないだろう」

「……」

煩わしかった。

こんな気分の時に呼び止められて、何で警官に説教されなきゃいけないんだろう。

「えと…ライトが壊れてて」

「そんなのは理由にはならんよ。もし事故でもしたらどうするんだ」

その程度の事もわからんのか。

最近のガキはこれだから。

そんな顔をして、警察官は面倒臭そうに溜息をついた。