十五の妄影(もうえい)

ようやく解放されたのは、一時間が過ぎた頃だった。

「石田ぁ」

立ち上がる事さえ出来なくなった僕の髪を掴んで、クラスメイトの一人が言う。

「あの女子大生、お前の彼女じゃないってんなら、今度俺んちに連れて来いよ…うちは両親留守がちだからよ、女連れ込んだってばれやしねぇよ」

そう言って。

そいつは下卑た笑いを浮かべた。

「ここにいる全員で押し倒しちまえば、年上だからって抵抗できねぇだろ」

「……!!」

その言葉に、血の気が引いた。

こいつら…佐奈さんに…佐奈さんに乱暴する気なんだ…!

そんなの嫌だ!

佐奈さんが…唯一の僕の味方の佐奈さんが…こんな奴らに乱暴されるなんて。

第一、佐奈さんは何の関係もないのに!