十五の妄影(もうえい)

「お前、女と一緒に歩いてたんだって?」

「大学生くらいの女らしいぜ」

「お前姉ちゃんいねえよな」

「じゃあ何だその女。お前まさか…彼女か?」

教室で感じていた視線の正体がわかった。

…高校生って、異性にも興味がある年頃だ。

恋愛、交際、勿論その先の事も…。

みんな好き合った相手と幸せな日々を送りたい。

それはもう憧れに近い。

だけどそれはなかなか実現しなくて…。

そんな憧れを実現させた奴が目の前にいる。

しかも、事もあろうにクラスで一番の嫌われ者が。

空気に等しい存在の癖に、俺達より一歩上に行って、優越感に浸って俺達を見下しているに違いない。

そんな焦りと、屈辱と、嫉妬。

様々な感情が入り混じった、視線…。