十五の妄影(もうえい)

長い長い夜が明けていくように。

深い深い霧が晴れていくように。

僕の背中に生えていた黒い翼が、その姿を透過させていく。

幻影のように消失していく。

…僕が、伝えたくて伝えたくて仕方がなかった心の闇。

それを吐露した事で、妄影は具現化している必要がなくなったのだ。

心は内に存在するもの。

妄影は僕の中へと帰っていく。

静かに、眠りへとつくように。