十五の妄影(もうえい)

思えば…。

僕は激情に駆られて、『自分』と向き合っていなかったかもしれない。

次々と自分の事を否定されて、その度に憤って、憎んで、相手ばかりにその激情を叩きつけた。

感情のままに暴れ回るだけだった。

思い通りにいかなくて、癇癪を起こす子供と一緒。

大声を上げて、乱暴をして、どうにかして気を引こうとする。

だけど。

僕は相手に、要求を伝えただろうか。

言葉を、想いを。

僕の心からの気持ちを。

相手に伝えようとしただろうか。