十五の妄影(もうえい)

偽善者だと思うだろうか。

晋作君を、綺麗事を並べる少年だと思うだろうか。

…晋作君は弱い。

弱いからこそ、この少年の弱さがわかるのだ。

いじめられる事が怖くて、真実が切り出せない。

弱いからこそ、彼の弱さが理解してあげられるのだ。

…ここで彼を責めれば、晋作君は『いじめる側』と同じになってしまう。

いじめの辛さが誰よりもわかっている。

だからこそ、彼は責めないのだ。