十五の妄影(もうえい)

本来なら、他人の心は見えない。

言葉で語っても、伝えても、本当の胸の内というのは、他者にはなかなか理解されないものだ。

けれど、ここなら。

晋作君自身の心の中である妄影の体内なら、晋作君の真実が見えてくる。

晋作君がどれ程の心の闇を抱えていたのか。

苦しみ、悲しみ、辛さ、怒り。

全てが他者に伝わる。

偽りのない心が、伝わっていく。

そんな中。

「ごめん…」

一人の少年の声が聞こえた。

「晋作…黙っててごめん…煙草吸ってたクラスメイトの事…チクったの俺なんだ…」