十五の妄影(もうえい)

涙が溢れた。

とめどなく涙が溢れ、止まらなかった。

ここまで追い詰められても、やっぱり晋作君だった。

私の知っている晋作君だった。

誰よりも優しい、私の知っている晋作君。

他人を傷つけるなんてできない、心優しい少年のままだった。

その優しさが切なくて、嬉しくて。

私は一人涙した。

救ってあげたい。

手を差し伸べてあげたい。

心の底から、助けてあげたい。

今ならまだ、間に合う筈だ。