十五の妄影(もうえい)

いじめられる側。

常に苦しみ、悩み、痛みや辛さを味わわされる存在。

誰よりも痛みを知っている。

殴られれば痛い、罵られれば悲しい。

その事を誰よりも知っている存在。

だから彼らは殴らない。

だから彼らは罵らない。

相手が傷つき、痛がる事を知っているから。

他人の痛みが自分の事のようにわかるから。

だから彼らは傷つけない。

殺すなんて、もってのほか。

やろうと思えば出来る。

手段を問わなければ、復讐なんて簡単に出来る。

それをやらないのは、彼らが『いじめられる側』だから。

『いじめられる側』は、他人の痛みが理解できる、誰よりも優しい存在だから。