十五の妄影(もうえい)

この事が物語る事実。

…晋作君は、殺す気などなかった。

いや、彼自身は殺す気で妄影に飲み込ませたのかもしれない。

けれど、彼は一度として、犠牲者達に『死ね』という決定的な言葉を発する事はなかった。

『消えてしまえ』

終始、その言葉だった。

…晋作君は殺すつもりでも、深層心理では『殺したくなかった』のかもしれない。

妄影が晋作君の心から生まれた存在ならば、尚更納得できる。

何故?

どうして?

あれ程自分を否定した人達を、殺さず生かしているのか。

…決まっている。

わかりきっている。

彼が『いじめられる側』だったからだ。