十五の妄影(もうえい)

「!?」

確かに。

微かにだけど、確かに声が聞こえた。

闇の中、私は振り向く。

「だ…誰かいるの!?」

必死だった。

孤独だと思っていたこの世界に、自分以外の人間がいる。

誰でもいい。

誰かいてくれる。

その事に光が差し込むような喜びを覚えた。

誰でもいい。

誰でもいいの。

すがりつきたい。

そばにいてほしい。

寄り添っていて欲しい。

…それは奇しくも、晋作君がいじめられている間中、感じていたであろう気持ちと同じだった。