十五の妄影(もうえい)

もしかしたら…。

私は疑念に駆られる。

私達が彼の心を理解しない間に、晋作君はもう諦めてしまったのではないか。

助けを求める事も、理解してもらおうとする事も、歩み寄ろうとする事も。

たった一人で孤独の淵に蹲るうちに、彼は何もかもを諦めてしまったのかもしれない。

…だとしたら。

震える。

もう手遅れなのではないだろうか。

晋作君の妄影は、次々と憎むべき人達を飲み込んだ。

それは絶望の証なのではないか。

誰も信じられなくなり、期待できなくなり、希望を持てなくなった。

いや…人だけじゃない。

この世界そのものに。

自分を許容してくれなかったこの世の全てに。

彼は絶望してしまったのかもしれない。

彼自身がもう諦めてしまっているのならば。

もう私がどんなに叫ぼうとも、声は届かない。

これまでに飲み込まれた人達同様、私もこの永遠の闇の中で朽ち果てていく以外にない。

身の毛もよだつような結末。

想像以上だった晋作君の心の闇を受け止めきれず、私自身が絶望しそうになる。

…その時だった。