十五の妄影(もうえい)

暗闇、孤独。

共に負の感情を増幅させるものだ。

ほんの僅かな時間の夜の停電でさえ、人間の恐怖を、不安を助長させる。

ましてや、心の中の闇。

常に自分に付き纏う暗黒の世界。

この闇が、どれほどのマイナスのイメージを晋作君に植え付けた事か。

そしてその闇を、彼はたった一人で抱え込んでいたのだ。

誰にも話す事なく。

誰にも助けを求められず。

逃げる事も、目を背ける事もできず。

たった一人で心の闇を抱えていた。

その苦しみが、どれ程のものなのか。

私がうわべだけの言葉で励ました所で、この闇を拭い去る事なんてできなかったに違いない。