十五の妄影(もうえい)

「晋作君」

佐奈さんは更に続ける。

「私はいつだって晋作君の味方だよ。これまでも、これからだってそう。私は…」

何か言いかける佐奈さん。

しかし僕は。

「もういいよ」

佐奈さんの言葉を遮った。

彼女のあの時の言葉が嘘じゃない事はわかった。

それだけで十分だ。

…これ以上の言い訳を聞かされれば、それさえも台無しにされるような気がした。

「佐奈さん有り難う。そして…」

妄影の触手が、佐奈さんの体を持ち上げる。

「さようなら」