十五の妄影(もうえい)

触手が伸びる。

佐奈さんを絡め取る。

「待って!晋作君待って!」

触手の力で引きずり寄せられながらも、彼女は必死に抵抗する。

「話を聞いて!違うの!私は晋作君が思っているような…」

「うるさい!」

もう…もう聞きたくない!

誰の弁解も言い訳も聞きたくない!

もう沢山だ!

「お願い晋作君、話を…」

「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!」

佐奈さんの声を遮るように叫び続けた。

もう何も言わないで欲しかった。

信じていた人が裏切る。

その人が見苦しく言い訳をする。

そんなの、悲しすぎた。