十五の妄影(もうえい)

妄影の姿が変わっていく。

糸状の触手の姿。

捕食する為の姿。

妄影は僕の意思に従って形を変える。

それはつまり、『僕が佐奈さんを消したい』と考えているという事。

佐奈さんに失望したという事。

「違うの…違うの晋作君…」

彼女の声が震える。

「私はこれ以上…晋作君に誰かを傷つけてほしくなくて…」

「どう言い繕ったって同じだよ」

僕の、佐奈さんに対する失望は変わらない。

僕は佐奈さんに対して、誰よりも信頼を置いていたんだ。

その信頼を裏切られた怒り。

憤り。

そして悲しみ…。

それらは、他の誰に裏切られるよりも大きなものだった。