十五の妄影(もうえい)

そんな状態でも気配はあった。

音は聞こえない。

目も見えない。

なのに、人間の感覚というのは優れているのだと思い知らされる。

大勢の隊員が、警戒しながら僕に接近しているのが感じ取れた。

自衛隊特殊作戦群。

閃光発音筒で僕の視覚と聴覚を封じた彼らは、既に僕を無力化したと考え、制圧の為に接近し始めていた。

SAT以上に、こういう任務に特化したプロフェッショナル。

本来なら凶悪な犯罪者や、テロリストを制圧する為に、日々厳しい訓練を行っている隊員達だ。

僕のような一介の高校生を取り押さえる事くらい、赤子の手を捻るようなものだろう。

事実、僕は最早何の抵抗も出来なくなっていた。