十五の妄影(もうえい)

西条佐奈さん。

僕が高校受験の時に、母さんが家庭教師のアルバイトをお願いした。

そして来たのがこの佐奈さん。

日向大学の二年生。

勉強もわかりやすく教えてくれるし、授業以外の話も面白い。

事実僕が日向高校に受かったのは、佐奈さんの家庭教師のお陰だと思っている。

「あら?」

雑誌を机に置いた佐奈さんは、僕の足元を見る。

「何で裸足なの?」

「え…」

その理由が言えず、僕はバツが悪くなって俯く。

「…はぁ」

佐奈さんは苦笑いを浮かべて溜息をついた。

「またいじめられたな?」