十五の妄影(もうえい)

汚れたソックスを洗濯籠に入れて二階の自分の部屋に向かっていると。

「晋作」

母さんが呼びとめた。

「早く着替えて部屋に戻りなさい。佐奈先生いらしてるわよ」

「え?」

僕は自分でも表情が明るくなったのがわかった。

足取りも軽く階段を駆け上がり。

「佐奈さん!」

部屋のドアを開ける。

「お、帰って来た来た」

僕の机。

その椅子に腰掛け、スラリとした足を組んで。

髪の長い可愛らしい女性が、漫画雑誌を片手に笑顔を見せた。