十五の妄影(もうえい)

「ならあんた達も僕の敵だ!」

弾切れを起こしたSAT隊員達。

その目の前で、晋作君の妄影が大きく広がった!

黒い翼。

妄執に囚われた十五歳の少年の心の闇そのものを表すような、黒い翼。

その翼が細い糸のように変化する。

無数…恐らくは数百本以上の糸状に変化した妄影は、一気に無防備なSAT隊員へと襲い掛かる!

「狙撃班!」

見ていた指揮官が無線に叫ぶ。

直後、一発の銃声。

向かいの建物の屋上に待機していた狙撃班が、遠距離からの狙撃を敢行する!

その銃弾すらも。

「卑怯者」

糸と化した妄影が寸前で絡めとった。

「手出しできない所から、無抵抗な僕を攻撃する…あんたらも、僕をいじめてたクラスメイト達と同じだ…!」