十五の妄影(もうえい)

「何だよ…これ…」

小さく晋作君が呟く。

SAT隊員達は動かない。

「何だよ…これ…」

もう一度晋作君が呟いた。

「僕は…僕は何ヶ月もいじめられ続けて…謂れのない事でクラスメイトからずっと嫌がらせをされ続けて…母さんも、先生も、誰も親身になってくれなくて…誰一人として助けてくれなくて…」

その言葉が、声が、震える。

目尻に涙が浮かんでいた。

「苦しくて悲しくて…そんな時、たった一人だけ助けてくれたのが、この妄影なんだ…僕に力を貸してくれた、たった一人の存在が妄影なんだ…その妄影と一緒に、クラスメイトに仕返しした…それがそんなにいけない事なのか?僕はずっといじめられっ放しじゃなきゃいけなかったのか!?」