十五の妄影(もうえい)

同時に校舎への突入班が動き出そうとする。

その時だった。

「!」

一階の下駄箱から出てくる人影。

…黒い翼のような影を背負った少年。

紛れもなく晋作君だった。

一斉に包囲する形を取り、機関銃MP5A5の銃口を向けるSAT隊員達。

一介の高校生に対して、特殊部隊の隊員が銃を向ける。

異様な光景だった。

「……」

晋作君は無言でSAT隊員を見る。

その表情に、連続殺傷をした凶悪犯という威圧感はない。

むしろ泣き出しそうな表情だった。