「見ててね」 彼はそう一言いうと 私に背を向けて 控え室の方へ入っていく その背中を私はじっと見つめる まただ 胸が苦しくなって 頭が痛くなる 思いだしたいのに 思いだせない もしかしたら 思い出したくないのかもしれない 思い出したらだめだよ って過去の自分が言ってるのかもしれない 私はその場に座りこむ その度に不安になって どうしたらいいのか分からなくなる 「…隆太」 私は助けを求めるように 名前を呼んで見る 「…陽菜」 いつもの声に陽菜は 顔を上げる