桜の木の下で…―運命に導かれて―




午前中は今日もまた多恵ちゃんと草むしり。


午前中で、しかも3月の終わりだというのに夏のように暑い。



「ねぇ、多恵ちゃん?」


「ん?」


「二階堂家にどうしても行かなきゃなんないのかなぁ?」


「一海様のご命令だからねぇ。こればかりは……ねぇ……」



多恵ちゃんが苦笑いをする。


一海さんの命令は絶対かぁ……。


“はぁ……”


口から出るのは溜め息ばかり。


溜め息ばかり吐いてたら幸せが逃げてくって言うけど、幸せなんてとっくの昔に逃げちゃった感じだよ……。