只今、西園寺家の皆様は朝食中。
一海さんのお父さんと一海さんは会話もなしに黙々と食べる。
会話くらいすればいいのに……。
なんて思ってしまうくらい静かな朝食。
「桜子、おかわり」
一海さんが茶碗を差し出す。
「はい」
私は茶碗を受け取って、ご飯を盛る。
「どうぞ」
机に茶碗を置いた。
「今日はやけに素直だな」
無表情でそう言って、茶碗を持つ一海さん。
「そうですか?」
私はいつも素直ですけど?
でも“桜子”と名前で呼ばれるたびに体が“ビクッ”と反応してしまう。
だってお父さん以外の男性から呼び捨てなんてないし。
それに一海さんは最初から私のことを呼び捨てにしてたけど、一海さんを意識すればするほど、呼び捨てにされると体が反応してしまう。



