着いた場所は【夕陽ヶ丘】だった。
まだ満開ではない桜。
3日前に、ここで一海さんと出会った。
一海さんが桜の木の下に寝転ぶ。
私は隣に座った。
目を閉じた一海さん。
その顔は美しくてドキドキしてしまう。
まつ毛、長いな……。
「来年は、見れるかな……」
一海さんが目を開け、ポツリと呟く。
目が合い、胸がトクンと高鳴った。
「えっ?な、何?」
「何でもない……」
そう言って、一海さんは立ち上がった。
「帰るぞ」
「えっ?もう?」
今、来たばっかじゃん。
一海さんはさっさと歩いて行く。
「もぉ!」
私も立ち上がって、一海さんの後ろをついて行った。



