家の外に出る。
一海さんは何も言わずに私の前を歩いてる。
どこ行くんだろう……。
「あ、あの……一海さん?」
一歩下がって歩いてた私は一海さんに声を掛けた。
「何だ」
振り向きもしないで言う一海さん。
「どこ、行くの?」
「散歩だ」
散歩?
こんな早い時間に?
「一海さんって、朝何時に起きてるの?」
相変わらず一歩下がった距離を保ってる。
「4時半だ」
4時半って……。
おじいちゃんか!
「4時半……」
「起きたら弓の練習。それから散歩をする。何か文句あるか?」
一海さんは振り向いてそう言った。
「い、いえ、何も……」
弓の練習かぁ……。
だから白筒袖に袴の格好してるんだ。



