「うわぁっ!」
驚いて思わず声を上げた私。
ドクンと胸が高鳴る。
一海さんは、白筒袖に袴を着ている。
弓道か剣道でもするような格好。
「ど、どうしたんですか?」
声が上ずる。
「今日は早起きだな」
一海さんがクスッと笑う。
多恵ちゃんに言われた言葉が頭を過る。
ーーそれはきっと、恋なんだよ。
ドクンと高鳴った胸がドキドキに変わっていく。
「おい!」
「は、はい!」
「お前っていつもボーとしてるな」
「そんなことない、です……」
やだ……。
一海さんのことを意識すればするほど上手くしゃべれない。
「ならいいが……。ちょっとついて来い」
「あっ、はい」
私は一海さんについて部屋を出た。



