桜の木の下で…―運命に導かれて―





「多恵ちゃんたちって、よく5時半にパッと起きれるね。寝過ごすことってないの?」



多恵ちゃんに髪を結ってもらいながら鏡越しに写る多恵ちゃんに向かってそう言った。



「寝過ごすことはないよ。自然に目が覚めるんだ。体がそういうふうになってるのかな?」


「へぇ……」



凄いな……。


私なんてアラームをセットしてても無意識のうちに止めて寝てることあるし……。



「出来た!」


「ありがとう」



それから着物を着せてもらい、鏡の前で最終チェックをした。



「じゃー、私、自分の部屋に戻るね」


「うん」



多恵ちゃんは部屋を出て行った。


もう一度、自分で鏡の前で最終チェック。



「よしっ!」



と、鏡に写る自分に向かって言ってニッコリ笑った。


その時……。


“コンコン”


と、部屋をノックする音が聞こえた。