桜の木の下で…―運命に導かれて―




顔を正面に戻した時……。


フラフラと走っている車が見えた。


片側二車線の道路。


センターラインを跨ぎながら走ったり、左側に寄ったり……。


まるで酔っ払いが運転してるみたい。


どんな人が運転してるんだろう……。


こちらの方向に向かってくる車の運転席をジッと見た。


20代ぐらいの若い男性がスマホを弄りながら運転しているのが見える。


スマホを弄りながら運転したらダメなんじゃ……。


危ないなぁ……。


周りに車は走ってないけど、歩道には人が歩いている。


もし、歩道に突っ込んだりしたら……。


この時までは、そう他人事のように思っていた。


でも、フラフラ走っている車はスピードを緩める事なく私の方へ近付いて来る。


えぇっ!ちょ!ちょっと!


何でこっちに向かって来るの?


えっ?な、何?どうなってるの?


…………ヤバい!轢かれる!


逃げなきゃ。


逃げようと思っても体が硬直して動かない。


車がだんだん近付いて来る。


えっ?い、いや……いや……。



「キャーーー!!!!」



その場にしゃがみ込み、目を瞑り手で頭を抱えた。