桜の木の下で…―運命に導かれて―





「ねぇ、多恵ちゃん?」


「ん?」


「私ね、わかんないんだ……」


「何が?」


「自分の気持ちが……」



私は桜を真っ直ぐ見つめたままそう言った。



「気持ち?」


「うん……。一海さんにね、許婚がいるって聞いた時、動揺してる自分がいたの……。でも私は……一海さんのことは……」



“好きじゃない”と口に出しては言えなかった……。



「桜子ちゃん?」


「ん?」


「それはきっと……恋なんだよ……」



恋?


えっ?


私が一海さんに恋してるってこと?


ありえない……。


そんなこと……絶対にありえないよ………。