桜の木の下で…―運命に導かれて―




和室の中からは賑やかな話し声が聞こえる。



「失礼します」



私は和室の襖を開けた。


一海さんのお父さんと一海さん。


それから……。


スーツを着た男性と振り袖を着た女性。


4人で机を囲んでいた。



「お茶をどうぞ?」



私は机の上にお茶を置いていく。



「あら?新しい女中さん?」



振り袖の女性が言った。



「あ、はい。一条桜子です」



私は挨拶をして女性を見た。


綺麗な人……。


漆黒のサラサラした長い髪。
白い透き通るような肌。
真っ赤な唇。
綺麗な瞳。


この人が、一海さんの許婚?


胸に針を刺されたようにチクンと痛んだ。


胸元をギュッと押さえる。


彼女の顔を見るのが苦しくなり、彼女から目を逸らした。