「ここに座って?」
多恵ちゃんがドレッサーの椅子を出しながら言った。
「うん」
私は椅子に座る。
多恵ちゃんがクシで私の髪をとかす。
「多恵ちゃんゴメンね……」
「どうして謝るの?」
「私のせいで多恵ちゃん怒られたんじゃない?」
「ううん」
多恵ちゃんが鏡越しにニッコリ微笑む。
朝5時半起床で、ギリギリまで寝てた私。
着物を自分で着た事なんてなくて、多恵ちゃんに急いで着せてもらった。
だから髪までセットする時間がなかった。
「桜子ちゃんの髪って綺麗だね」
「そう?」
「うん。それにいい香りがする」
「あぁ。香水つけてるから」
「香水?」
「うん。あとで多恵ちゃんにもつけてあげる」
「ありがとう」
多恵ちゃんが再び微笑む。



