桜の木の下で…―運命に導かれて―




夕陽ヶ丘に立つ1本の桜の木。


72年前と変わらず、毎年春になると蕾をつけ、花を咲かせてきた桜。


満開の桜。


私は桜の木の下に寝転んだ。


桜の花びらの間から、どこまでも続く青空が見える。


太陽の光が眩しい。


暖かい春風が吹き抜ける。


サラサラと舞い散る桜の花びら。


地面一面を薄ピンク色に染めていく。


私は、制服のスカートのポケットからスマホを取り出して下から桜の木の写真を撮った。


スマホの画面いっぱいに広がる薄いピンク色の桜の花と、その間から見える青空。


画像を保存して、スマホを胸の上で握り締めると、ゆっくり目を閉じた。