「一条、桜子です」
私は無表情で自分の名前を言った。
「頭を下げろ」
また一海さんは怒鳴るようにそう言った。
もぉ!何なのよ!
下げればいいんでしょ?下げれば!
私は一海さんのお父さんに頭を下げた。
「まぁ、いいじゃないか一海」
一海さんのお父さんはそう言って笑うと、私の方を見た。
「桜子さんか……。一海は気が強い。あなたに一海の世話が出来るかな?」
一海さんのお父さんが意地悪そうな笑顔を浮かべながらそう言った。
「確かに気が強いですね。でも私、根性だけはあるんで大丈夫です」
私も一海さんのお父さんに負けないくらい、満面の笑みを浮かべながらそう言った。
目を見開き、驚いた顔した一海さんのお父さん。
でも、またすぐに顔が緩んだと思ったら……。
「おもしろい人だ」
そう言って、再び豪快な笑いが部屋中に響いた。



