桜の木の下で…―運命に導かれて―





「一海、そちらの女性は?」



一海さんのお父さんが私のことをチラッと見てそう言った。



「はい。さっき夕陽ヶ丘にいたのを拾って帰ってきました」



また言ってるし……。


それを聞いた一海さんのお父さん。


大爆笑ですか。


しかも姿勢をピンッと伸ばしたまま笑うとこが怖いんですが……。



「一海らしいな。さっ、君!こっちに来て座りなさい」



一海さんのお父さんが手招きをする。


私は一海さんの隣に座った。



「父上、この女を自分専用の女中にしたいと思ってるのですが……」


「好きにしたらいい」


「ありがとうございます」



一海さんはお父さんに頭を下げた。


そして一海さんは私の方を見る。



「な、何よ……」


「何、ボーッとしてる。父上に挨拶しないか!」



怒鳴るようにそう言った一海さん。


何よ!偉そうに!


そんなに怒鳴ることないじゃない。