桜の木の下で…―運命に導かれて―




悲しいわけじゃない。


一海さんにこうして再び会えたことが嬉しいんだ。


なのに涙が止まらなくて……。



「桜子?」



私の名前を呼んだ一海さんの身体は、まるで魂が抜けていくみたいに、だんだんと薄くなっていって光の玉が宙を舞っていた。


一海さん?


ねぇ、一海さん?


どうして?



「笑え」



私は首を横に振った。


笑えないよ……。


一海さんがいなくなっちゃう。


嫌だ……。


やっと会えたのに……嫌だよ……。



「いいか、桜子?これは俺からの最後の命令だ」



最後?


一海さんの言葉に目を大きく見開いた。


最後って、どういうこと?


いや、嫌だよ。


ねぇ、嫌だよ……。


ねぇ、一海さん!


私は一海さんに手を伸ばした。


でも、さっきとは違って、もう、一海さんの手を掴む事は出来なくなっていた。


…………!?


一海さん?


私は一海さんの顔を見て、再び目を大きく見開いた。


写真の中と同じ一海さんの優しい笑顔を見たような気がしたから……。


その時、再び強い風が吹いた。