桜の木の下で…―運命に導かれて―




私が睨み付けても動じない彼。


相変わらず無表情のままで、私をジーと見てる。


それどころか……。



「嫌なのか?俺専用の女中になれるなんて幸せだと思うけどな」



なんて言っちゃうし。


どんだけ自意識過剰なんだよ!


自分はモテますよ、カッコイイですよって言ってるようなもんじゃん。


そりゃまぁカッコイイのは認めるよ。


見つめられたら“ドキッ”としちゃうもん。


そこは否定しない。


けど、性格は最低じゃん。


俺様ってやつ?



「私は幸せなんて思わない」



そう言ってやった。


なのに……。


なのに一海さんは……。


何も言わず、意地悪そうな笑顔を浮かべてるだけ。


何か言い返さないわけ?


拍子抜けしちゃう。


女中さんたちは、私を見て唖然としてるし……。