「なんか娘が出来たみたいで嬉しいの」
布団を敷き終え、先生のお母さんが用意してくれた紅茶を飲んでいた。
「えっ?」
娘って……。
「でも、咲さんが……」
「咲はダメ」
先生のお母さんは、溜息混じりにそう言った。
「ダメって……」
「冬は家にいないし、暖かくなって帰って来たと思ったら、突然、大きなリュック背負って行き先も告げずに家を出て、1ヶ月2ヶ月帰らない事なんてしょっちゅうよ」
「そうなん、ですか?」
「そうなの。冬は出稼ぎに行ってお金を稼いで貯めて、暖かくなったらそのお金で世界中を旅行してるのよ。バック何とかって言ってたっけ?」
「バックパッカーですか?」
「そうそう!それそれ!本当にいい年して何してんだか……。もうね、私は咲の事は諦めたの。あの子は今の生活は死なないと治らないわね」
先生のお母さんは、そう言って紅茶を一口飲んだ。



