桜の木の下で…―運命に導かれて―




一海さんが玄関を開けた直後、何も言わなくても奥から着物を着た女性が6人出てきた。


もしかして、お手伝いさん?



「お帰りなさいませ」



お手伝いさんが一斉にそう言うと頭を下げた。


うわぁ!


こんなのテレビの世界でしか見た事ないよ。


でも、それに対して一海さんは相変わらず無表情だし……。



「あの……一海様?そちらの方は?」



1人のお手伝いさんが私を見ながら言った。



「夕陽ヶ丘に落ちてたから拾ってきた。ここで俺専用の女中として働かせる」



だから私は物じゃないっつーの!



……って、ん?あれ?


てか、さっき何て言った?


ーー俺専用の女中


彼は確かにそう言った。


女中ってことは……。


一海さん専用のお手伝いさんってことよね?


一海さん専用のお手伝いさん=こき使われる?



「ちょ!ちょっと待って!」


「何だ?」


「あなた専用の女中なんて聞いてない!」



私は一海さんを睨み付けた。