じゃー……あの出来事は夢だったんだ……。
私が1週間、眠り続けて見た夢だったんだ。
「桜子ったら意識がないはずなのに、時々、微笑んだり泣いたりしてたのよ。おかしな話ね。それに1週間何も食べてなくて栄養は点滴だけで摂ってたのに、痩せるどころかいつもと変わらないんだもん」
リンゴの皮を剥きながらお母さんが言った。
「そうなんだ……」
私はそう言って、窓の外を見た。
病室の窓から見える桜の木。
満開に咲いてる。
桜の木の下で一海さんとキスをした。
その感触が唇に残っている。
一海さんに抱きしめられた感触も温もりも残ってる。
夢のはずなのに……。
「お母さん……」
私は窓を見たままお母さんを呼んだ。
「ん?」
「桜が綺麗だね……」
「そうね」
私はいつまでも桜を見ていた。



