桜の木の下で…―運命に導かれて―




一海さんに手を引っ張られて連れて来られたとこは写真館だった。


中に入ると、白髪頭のおじさんが1人カウンターに座っていた。



「おぉ!これは一海様!いらっしゃいませ」



おじさんが一海さんに笑顔で言うと、カウンターから出て来て頭を下げた。


やっぱ一海さんって有名なんだ……。


これだけ西園寺家が有名なら一海さんの奥さんが私じゃないくらい知ってるはず。


でも、おじさんは一海さんの隣にいるのが美乃さんじゃなく私なのに何も言わない。


私にもニコニコ笑顔を見せてくれていた。



「写真を撮って頂きたい」


「はい。かしこまりました。こちらへどうぞ」



おじさんの案内で店の奥に入る。


そこには写真館でよく見るスタジオがあった。