桜の木の下で…―運命に導かれて―





「言いにくいんだが………」



さっきまで笑顔だったのに、そう言った一海さんのお父さんは困った顔をして頭を掻いている。


もしかして……。


…………クビ?


まさか美乃さんが一海さんのお父さんにチクったとか?



「クビ、ですか?」



私がそう言うと、一海さんのお父さんがビックリした顔で私を見た。



「……うん、まぁ……そうなんだが……」



やっぱり……。



「桜子さん」


「はい」



一海さんのお父さんは立ち上がり、縁側の方に歩いて行く。



「わしはあんたが気に入ってた。一海の嫁に来て欲しいくらいだった……」



庭を見ながら話をする一海さんのお父さん。


背中が寂しそう……。


そんな一海さんのお父さんの背中を私は見つめているしかできなかった。