「桜子さん?」
廊下を掃除してると、美乃さんがやって来た。
もぅ!次は何?
「何ですか?」
私はめんどくさそうに言って立ち上がった。
「これ、どういうこと?」
美乃さんの手を見ると、カーディガンが握られている。
「私の部屋に入ったんですか?」
「今はそんなことどうでもいいでしょ?これはどういうことって聞いてるの」
「見たまんまですけど?」
私はそう言うと、またじゃがみ込んで廊下の掃除を始めた。
「あなた最低ね」
「どっちが」
私はそう呟く。
「何か言ったかしら?」
「人の部屋に勝手に入って、ゴミを漁るあなたの方が最低だって言ったの!」
私は美乃さんを見上げ睨み付けた。
「女中の部屋に入って何が悪いのかしら?」
「それが最低だっつってんの!泥棒と同じじゃん!」
美乃さんは反論できなくて下唇をグッと噛み締めていた。
ザマーミロ!
私は美乃さんをほっといて廊下の掃除を再び始めた。