「一海さんは西園寺家の由緒正しい家系の方、あなたはただの女中。一海さんに色目を使っても相手にされないことくらいわからないのかしら」
はい?
あぁ、もぉ!どうでもいい!
私も言わせてもらう。
腹が立って仕方がない!
「何?嫉妬してんの?私が一海さんにここまで運ばれてきたことに嫉妬してんの?バッカじゃないの?」
誰のせいで寝不足になったと思ってんだよ!
私の言葉に美乃さんの体が震えだした。
「あなた!誰に向かってそんな口の聞き方をしてるの?私は西園寺家の長男の嫁です!立場をわきまえなさい!」
「はぁ?だから何?西園寺家の嫁だからって何だって言うのよ!そんなに偉いわけ?アホらし」
私はそう言うと美乃さんに背中を向けた。
西園寺家の嫁、西園寺家の嫁って煩いわ!
西園寺家がどんなに偉いのか、その嫁の美乃さんがどんだけ偉いかなんて私には関係ない。
「あなた!私にそんな態度を取ってどうなるかわかってるの?」
「好きにしたら?」
私は美乃さんを睨み付け、そう呟いて階段を降りた。



