重たい瞼をゆっくり開けていく。


ボヤーとした視界に見えたのは一海さんの顔。


あれ?私……。


だんだんと視界がハッキリ見えてきた。


この部屋は以前、私が使ってた部屋だ。


一海さんの亡くなったお母さんの部屋。



「一海、さん?私……」


「気持ち良さそうに寝てたな」



一海さんがクスッと笑った。



「えっ?私、寝てたの?」


「あぁ。子供みたいにスースー寝息をたてて。寝不足か?」


「う、うん。まぁ……」



原因がアナタと美乃さんだって言えないよ……。



「一海さん?」


「何だ」


「ありがとう」


「あぁ」



一海さんはそう言うと部屋を出て行った。